譜面はボーカリストが書くのですか? ジャズのコードとは? 移調とは?

譜面はボーカリストが書くのですか?

 


 
基本的には、ボーカリスト自身が書きます。

基になる譜面は、書店等で販売されている
市販の譜面を参考にさせて頂くことが多いです。
希望曲の譜面が市販されていない場合もあり、
その際は、プロのボーカリストさんが歌っていらっしゃる歌を
何度も聴きとることにより、
自分で譜面をおこしたこともあります。
譜面が市販されていない曲を歌いたい場合は、
この様な方法も可能です。

ジャズボーカリストによって、それぞれ、
歌う曲のキー、リズム、構成、エンディングまで
全て異なりますので、
譜面は各々のオリジナルになります。
そのため、ジャズの場合は、
ボーカリスト同士での譜面の貸し借りは出来ません。
ボーカリストが自身の譜面の所有者です。

ボーカリストさんの中には、
ミュージシャンに依頼して譜面を作成して頂いている方、
また、パソコンでダウンロード、印刷して
使用している方もいらっしゃいますが、
ベテランの方で、内容に精通していらっしゃる方ならば宜しいですが、

ボーカリストを目指していらっしゃる方であれば、
どなたかに作成して頂いたり、
パソコンでダウンロードして印刷なさると
ご自身が内容を理解していない場合がありますので、
ご面倒でも、ご自身でお書きになるのが宜しいです。



ジャズのコードとは?

ジャズで用いる和音を意味します。
基本的には、トライアド(3和音)
これに、7番目の音、セブンスを加えて4和音、
更に、テンションを加える場合もあります。

ピアノの鍵盤上で、
基本となる音(ルート/Root)が出る鍵盤から、
離れている数を "度" と言う言葉を使用して表現します。

例えば、C が、ルートの場合、
ドレミファソラシド (CDEFGABC) の 
ミ = E = 3度
ソ = G = 5度
シ = B = 7度 
更に、オクターブを超えて、
9度、11度、13度もありますが、
ボーカリストが譜面上に記載して使用するのは、主に9度までです。
レ = D = 9度 


 



例えば、C が、ルートの場合、

トライアド(3和音)は、
メジャースケールは、 C と記載し、1-3-5(C-E-G)。
マイナースケールは、 Cmと記載し、1-b3-5(C-Eb-G)。

これに、7番目の音、メジャーセブンを加えて4和音とする場合、
メジャースケールは、 CM7 と記載し、1-3-5-7(C-E-G-B)。
* CM7=Cmaj7=C△7 と記載する場合もあります。
マイナースケールは、 CmM7  と記載し、1-b3-5-7(C-Eb-G-B)。
* CmM7=C-M7と記載する場合もあります。

7番目の音で、ドミナントセブンを加えて4和音とする場合、
メジャースケールは、 C7 と記載し、1-3-5-b7(C-E-G-Bb)。
マイナースケールは、 Cm7  と記載し、1-b3-5-b7(C-Eb-G-Bb)。
* Cm7=C-7と記載する場合もあります。

オーギュメントは、 aug と記載し、 1-3-5#(C-E-G#)
フラットファイブは、♭5 と記載し、 1-3-b5(C-E-Gb)
サス・フォー(Suspended 4th)は、sus4と記載し、1-4-5(C-F-G)
ディミニッシュは、dim7、dim、º7 と記載し、1-b3-b5-bb7(C-Eb-Gb-A)
ハーフ・ディミニッシュは、ø と記載し、1-b3-b5-b7(C-Eb-Gb-Bb)


移調とは?

市販されている譜面を参考にさせて頂き、
ボーカリスト自身のオリジナル譜面を作成することが多いですが、
その際、ボーカリスト自身のキーに移行して譜面を作成します。
このキーの移行を移調と言います。
移調の際には、譜面に書かれているコードも音符も
ご自身のキーに合わせて、
市販譜面と異なる度数分を、全て一斉に、
上げて、又は下げて、記載する必要があります。
ご自身で実際に譜面を書かれる際には、
コード移調表が必要になります。
もし、お持ちでなければ、ご購入なさるか、もしくは、
私が作成した以下の移調表でも宜しければご参考下さい。
また、市販されている譜面に記載されているコードの移調ではなく、
ご自身のセンスで、ご自身の好みのコードを使用したり、
フェイクやスキャット箇所のコードを変更することも可能です。
その様に、ご自身のオリジナル譜面を作成なさって下さい。

ステージで歌える様になるためには? ボーカルセッションとは?

ステージで歌える様になるためには?



 
お客様に喜んで頂けるステージを実現したいために、
ボーカリストは、日々、継続的な練習を欠かしません。
お客様の前で歌わせて頂くよりも、
練習に費やす時間の方がはるかに長いです。

ボーカルスクールで、
ジャズの歌唱を習い始める方が多いですが、
説明してきました通り、歌唱、発声法、呼吸法を学び、
練習を重ねて、やっとステージに立つ機会を頂くことになります。

ボーカルスクールに通う場合、
大体、毎週固定曜日に、
週に一回通うパターンが多く
一曲にかけるレッスン回数は、
二週間(レッスンとしては二回分)で
一曲分のご指導が終了するサイクルが多いです。

私は、二回のレッスンを受けて、ジャズを一曲歌える様になった!
と習い初めの頃は、嬉しすぎて、浮足立っていましたが、
今から振り返ると、とんでもありません。

一曲を仕上げるまで、
ステージで、
お客様の前で歌えるレベルになるまで、
二回のレッスン程度では無理です。
毎日、練習を継続しても、
私の場合は、少なくても三カ月かかります。

英語の意味を調べて理解をして、
発音をチェック、
キーやリズムを決めて、
発声練習をしながら、
歌の歌詞を覚えて、
そして、実際に、自分の歌いたいキーやリズムでの譜面を書いて、
ボーカルセッションに行ってみて、
実際に楽器の演奏と合わせてみて、
音があっているか、
テンポはどうか、
抑揚はどうか、
声のボリュームはどうか、
フェイクやスキャットが違和感がないかどうか、
聴いて下さっている方々の表情がつまらなさそうではないか、
様々な側面からチェックします。
自分の歌を録音して、帰宅後に再生し、再チェックします。


ボーカルセッションとは?


実際に、ジャズミュージシャンの生演奏で、
歌ってみることが出来る、生演奏による練習です。
ジャズバー等で実施されています。
ボーカルセッションと、
楽器の練習の方も対象とするセッションの
大きく2タイプのセッションがあります。
ご興味をお持ちでしたら、ボーカルセッションは、
基本的にボーカルの練習目的の方々が集まりますので、
初めての方は、ボーカルセッションが宜しいと思われます。

ご自身のキーで書かれた譜面を、
基本的に全く同じもの3枚お持ちになられて下さい。
3枚の理由は、ピアノの方、ベースの方、ドラムの方、
それぞれにお渡しするためです。
ピアノの方のみ、あるいは、ピアノとベース、
又はギターの方の演奏の場合もありますが、
念の為、一曲につき3枚持っていれば安心しますね。
譜面を一枚作成なさいましたら、
ご自身の名前を余白に記載後、
コピーを作成なさるのが宜しいです。
譜面は、ご自身のオリジナルですから、
紛失したりしない様に大切になさって下さい。
時間や混雑具合にもよりますが、大体、
ボーカリストさんお一人当たり、
2~3曲位歌えることが多いので、
3曲分位の譜面を準備なされた方が宜しいでしょう。

ご自身が歌う順番が回って来ましたら、
ご自身の譜面を、ミュージシャンお一人ずつに、ご自身で手渡しします。
その際に、ご自身がどの様に歌いたいのかをミュージシャンに伝えます。

例)
演奏は、全スリーコーラス、1コーラス目は私が歌います、
2コーラス目は間奏、3コーラス目に私が歌いエンディングに行って下さい。

「演奏は、全スリーコーラス」
 →ミュージシャンに演奏して欲しい曲全体の長さ、サイズを意味します。
「1コーラス目は私が歌います、2コーラス目は間奏」
 →このままの意味です。
「3コーラス目に私が歌いエンディングに行って下さい」
 →ここで、曲の2番を歌って、エンディングまで歌い1曲の歌唱を終了します。

エンディングは、ヴォーカリストさんによって、
また、曲によって様々です。
例)
●最後の4小節を2回繰り返してエンディング
●2小節を3回繰り返してエンディング
●Cut Out - 譜面通りに演奏を進めて、
 最後にミュージシャンもボーカリストも
 全員が同時に、演奏も歌も終了するエンディング
等々

 エンディングについて、譜面には記載せずに、
その場でミュージシャンに口頭でお伝えする、
あるいは、歌いながら手でミュージシャンに合図をする
ボーカリストさんもいらっしゃいます。
それは、もちろん不正ではなく、可能なことなのですが、
ベテランの方ならば、それも宜しいと思いますが、
私の経験上、初心者の場合は、
ご自身の譜面にしっかりと記載しておいた方が宜しいです。
なぜなら、記載がなく、
その場でミュージシャンに口頭で、あるいは合図で伝えただけの場合、
ボーカリストの伝え方、あるいは、
ミュージシャンがどれ程しっかりと
ボーカリストの依頼内容を聞いて、見て下さっているのかにもよりますが、
伝えた通りのエンディングにはならずに、
支離滅裂なエンディングになってしまうという
事故が起きる可能性があるからです。

セッションに行かれるのならば、
エンディングも練習目的の一つであるはずですから、
しっかりと記載して、
ご自身が記載した通りのエンディングを
是非、試してみて、
そのエンディングが宜しかったかどうか、
良くなかったと感じたのであれば、
より良いエンディングに書き換える機会にもなりますので、
エンディングまでしっかりと練習なさるのが宜しいです。

セッションは、お店側がミュージシャンの方々を手配して下さいますので、
ご自身で、ミュージシャンの方々をお手配なさる必要はありません。

お店によっては、シャンソンやポップスのセッションもある様です。
ジャズボーカリストを目指していらして、セッションにご興味をお持ちでしたら、
"ジャズボーカルセッション"を選ばれるのが宜しいです。
ジャズミュージシャンの演奏で生で歌ってみるのは、
とても良い経験になると思います。

セッションは、他のボーカルの方々の歌を聴くことも出来ますし、
知らなかった曲を知ったり、良い勉強をする機会になるかと思います。

ボーカリストは、この様な経験を経て、
ステージに立つ機会を頂いています。